ポータルクロニクル Season 3 第1話「静寂を破る音」

「……やっと終わったわ!」
深い溜息とともに、セシリアは思わず声を上げた。

虚ろ舟の調査を終えて宿に戻るや否や、彼女はノートPCを立ち上げ、溜まりに溜まったレポート課題に取りかかった。そして今、ついにすべての提出を終えたのだ。

これまでセシリアは、移動の合間の細切れ時間を使ってコツコツと書き進めてきた。24時間いつでもオンライン提出が可能で、しかも日本でのフィールドワークを考慮して大学側が締切を延長してくれていたとはいえ、課題の量は膨大だった。

生来の読書好き、かつ、最新型マイクロチップがインプラントされているため、読み書き自体は苦ではない。だが、彼女が所属する修士課程は、歴史・文学・哲学・考古学・社会学・心理学・宗教といった学際的領域を横断的に学ぶプログラムで、さらにセシリアは考古学理論を選択科目として履修していた。
量だけでなく、学習範囲の広さも相当な負荷だった。

「最新型マイクロチップがインプラントされてるからといって、タイパ最強!ってわけじゃないのね……」
思わずこぼした愚痴に、イリスが軽く笑いながら応じる。

「そうよ。あなたの能力は標準的な地球人の数十倍、数百倍に拡張されているわ。だからこそ、それを使いこなすには相応の努力が必要なの。
 でも大丈夫。あなたならできるわ。私が見込んだニュータイプなんだから」

「ありがとう……少し横になるわ」
セシリアはそのまま電池が切れたように眠り込んだ。

「夕食まではまだ時間があるわ。私たちも休みましょう」
カミーユの言葉に、皆もそれぞれ横になった。

――夕食と入浴を終え、部屋に戻ってきたその時だった。
セシリアのノートPCから、リモート通知音が鳴り響く。

「G教授からだわ。何かしら?」

『ポータルクロニクル』
©2026 高橋剛(未来叙事創作者)/AI支援

登場キャラクター紹介

セシリア・フェアチャイルド
物語の軸を担う存在。G教授の推薦を受け、研究者として日本でのフィールドワークを開始。虚ろ舟調査を終え、大学院のレポート課題作成に取り組む。
名前の由来は「機動戦士ガンダム」でギレン・ザビの第1秘書を務める才色兼備の美女セシリアと、「ガンダムF91」のセシリー・フェアチャイルドから。

イリス
太古に地球を離れた人類の末裔で科学者。常にセシリアに寄り添う良き理解者。
名前の由来はピエール=ナルシス・ゲラン作『モルフェウスとイーリス』から。

カミーユ
フランスと日本のハーフ女性。G教授の紹介で、セシリアの旅を支える運転手となる。元傭兵で、その類稀なる戦闘能力から「最高のニュータイプ」と呼ばれている。
名前の由来は「Zガンダム」の主人公カミーユ・ビダンから。

【朗読】ポータルクロニクル公式

使用音声ソフト
VOICEVOX:小夜/SAYO(朗読)
VOICEVOX:もち子(cv 明日葉よもぎ)(セシリア)
VOICEVOX:東北きりたん(イリス)
VOICEVOX:後鬼(カミーユ)

エンディングテーマ
Burning Heart/魔王魂

編集後記

いよいよ幕を開けた『ポータルクロニクル Season 3』。新章の始動にあわせて、朗読版のエンディングテーマとエンドカードも一新しました。映像はフルHD(1920×1080)の高解像度で、より鮮やかに物語の世界を描き出します。少し変化した空気感を、ぜひ目と耳で感じ取っていただけたら嬉しいです。

セシリアたちを待ち受ける新たな旅路が、いま動き出します。これからの展開に、どうぞご期待ください。