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ポータルクロニクル 第4話「偶然は運命になる・後編」

翌日の放課後。いつものように図書館の窓辺に腰を下ろしたセシリアは、ふと視線を感じて顔を上げた。

そこにいたのは――昨日、隣に座って話しかけてきた女性。

イリスは微笑みを浮かべ、まるで昨日の続きのように自然に言葉を紡ぐ。

その落ち着いた佇まいは、学校の同年代であろう先生たちとはまるで違う。マイクロチップの件といい、彼女の声も雰囲気も、どこか遠い未来か違う星から来たのではないかと感じさせられた。

「あなたいつもオカルト関連の本ばかり読んでるわね。不思議な世界に興味あるの?」

イリスの問いかけに、セシリアは小さく頷いた。

「いいわ。私の友達を紹介してあげる。あなたと年齢も近いから、きっと仲良くなれるはず。ちょうど時間もあるし、お夕飯まで散歩がてら行かない?」

読んでいた本を棚に戻し、イリスの後を追って図書館を出るセシリア。 珍しく他人に興味を示したこの行動が、やがて彼女に思いもよらぬ驚きをもたらすことになるとは知る由もなかった。

歩きながら、イリスがふと問いかける。
「ねぇ、妖精って見たことある?」

『ポータルクロニクル』
©2025 高橋剛(創作家)/AI支援


【朗読】ポータルクロニクル公式

使用音声ソフト
VOICEVOX:小夜/SAYO(朗読/セシリア)
VOICEVOX:東北きりたん(イリス)

エンディングテーマ
ミッドナイトムーン/甘茶の音楽工房


登場キャラクター紹介

セシリア・フェアチャイルド
物語の軸となる存在。 幼少期にアブダクションを経験した過去を持ちながら、その記憶は封じられている。 不思議世界への関心を胸に過ごす。
名前の由来は「機動戦士ガンダム」でギレン・ザビの第1秘書を務める才色兼備の美女セシリアと、「ガンダムF91」のセシリー・フェアチャイルドから。

イリス
北欧の女性を思わせる姿をした宇宙的存在。
深い青の瞳と金色の髪を持ち、静謐な気配を纏う。
セシリアにとって「導き手」であり、「問いを投げかける存在」。
彼女の言葉は、セシリアの心の奥に眠る“自由への希求”を呼び覚ます。
名前の由来はピエール=ナルシス・ゲラン作『モルフェウスとイーリス』から。


Chronicle FM

©音読さん

更新曜日変更
これまで毎週月曜日に更新してきましたが、今回の第4話から、土曜または日曜の週末更新に切り替えました。
お勤めの方にとって月曜日は少し憂うつな始まりかもしれません。そこで、週末に物語をお届けし、月曜を迎える心を少しでも軽くできればと思っています。
そして現在、すでにシーズン2の執筆に取り掛かっています。
セシリアたちの新しい物語を、どうぞ楽しみにお待ちください。
引き続き『ポータルクロニクル』をよろしくお願いいたします。