「ところでイリス、相談があるんだけど」
「何かしら?」
「妖精じゃなくなった以上、もう元の星には戻れないわ。できればイリスの星に移住したいの。軍も退役するつもり」
「いいわよ。うちはウェルカムだもの。ロナの星とは友好関係だし、地球みたいに国籍の縛りもないし。父にも伝えておくわ」
「ありがとう!そこなのよね。地球に帰化したい気持ちはあるけど、国籍取得のハードルが高すぎるわ。
“以前は妖精で、別の星に住んでました。でもルーツは皆さんと同じです。モビルスーツの操縦ができるので、大抵のものは動かせます。貴国のお役に立てます。だから国籍ください”
なんて、誰が信じると思う?こんな虫がいい話、許可どころか即監獄行きよ。
ところで、お父さんはまだ星の代表をやってるの?」
「ええ。まだ最高評議会議長よ。SEED DESTINYのデュランダル議長みたいなロン毛にはしてないけど」
「ロナ、思い立ったが吉日よ」
イリスとロナはそれぞれの星に量子通信で事情を伝えた。すぐに両星の弁護士と法執行機関の職員がイリスの母船へ向かい、ロナへの事情聴取と移住手続きを進めることになった。
一方その頃、セシリアとカミーユは羽田空港内のホテルに到着した。
「なんとかチェックイン時刻に間に合ったわね。チェックアウトは明日の11時だから、少しはゆっくりできるわ。13時頃のヒースロー行きでいいかしら?機内食もあるし。……到着は現地時間の20時頃ね」
「そうね。イリスとG教授に伝えておくわ」
「私は先にシャワーを浴びるわ」
カミーユがシャワーを浴びている間、セシリアはイリスにテレパシーで連絡を取った。
「そう!やっぱりロナは人間に。イリスの星に移住する形を取るのね」
「ええ。こちらはこちらで忙しいから、ゆっくり来ていいわよ。用事が済んだら、あなたの家に先に行ってるわ。その旨、G教授に伝えてくれないかしら?」
「わかったわ。私たちは現地時間で22時頃に家に到着予定よ」
「じゃあ、またね」
セシリアが続けてG教授にメールすると、すぐに返信が届いた。
ちょうどその時、カミーユが浴室から出てきた。
「カミーユ、ちょうどよかった。G教授がヒースロー空港まで車で迎えに来てくれるって」
「助かるわ。私、あなたの家には行ったことがないもの。それに、あなたのお父さんに直接お会いして、ご挨拶したいと思ってたし」
「父も喜ぶわ。卒業式に出席するって理由で、7日間の休暇をもらったそうよ」
「それと、イリスの話だと、ロナはイリスの星に移住するみたいよ。手続きが済み次第、うちに来るって。G教授からも父に伝えておくってメールに書いてあったわ」
『ポータルクロニクル』
©2026 高橋剛(未来叙事創作者)/AI支援
登場キャラクター紹介
セシリア・フェアチャイルド
物語の軸を担う存在。大学院の卒業式のため、母国イングランドに帰郷することとなった。
名前の由来は「機動戦士ガンダム」でギレン・ザビの第1秘書を務める才色兼備の美女セシリアと、「ガンダムF91」のセシリー・フェアチャイルドから。
イリス
太古に地球を離れた人類の末裔で科学者。セシリアをアブダクションしてインプラントを施した。常にセシリアに寄り添う良き理解者。父親は母星の代表職である最高評議会議長。
名前の由来はピエール=ナルシス・ゲラン作『モルフェウスとイーリス』から。
ロナ
父親との確執から家出していたところ、イリスによって呼び寄せられた。妖精だったが、人間の食べ物を摂取し続けた結果、人間に変化。自分の星には戻れなくなったことから、イリスの星に移住することとなった。
名前の由来は「ガンダムF91」に登場したセシリー・フェアチャイルドの本名であるベラ・ロナから。嫌いなものはアニメ同様、ラフレシア。
カミーユ
フランスと日本のハーフ女性。G教授の紹介で、セシリアの日本フィールドワークでの運転手兼用心棒的な役割を担う。元傭兵で、その類稀なる戦闘能力から「最高のニュータイプ」と呼ばれている。セシリアが帰郷後も引き続き、共に旅を続ける。
名前の由来は「Zガンダム」の主人公カミーユ・ビダンから。
【朗読】ポータルクロニクル公式
使用音声ソフト
VOICEVOX:小夜/SAYO(朗読)
VOICEVOX:もち子(cv 明日葉よもぎ)(セシリア)
VOICEVOX:東北きりたん(イリス)
VOICEVOX:中部つるぎ(ロナ)
VOICEVOX:後鬼(カミーユ)
エンディングテーマ
Burning Heart/魔王魂
編集後記
少しややこしく感じられるかもしれませんが、セシリアたちがヒースロー空港に到着するのは、出発日と同じ日の19時〜20時頃となります。日付をまたぐことはありません。
イギリスでは、3月末から10月末までサマータイム(夏時間)が実施されており、この期間中は日本との時差が8時間(日本が8時間進行)となります。
今回の物語を例にすると、日本が午後1時のとき、ロンドンはまだ朝の5時。羽田からヒースローへの直行便は、北回りのルートを通るため、飛行時間はおおよそ14時間30分〜15時間ほどかかります。ロンドン時間では前5時。そこから約15時間を加えると、現地時間の20時前後に到着する計算になります。
つまり、「日本を昼に出発して、15時間も飛行したのに、現地ではまだ同じ日の夜」という、時空を飛び越えたような感覚になるのが、西向き(ヨーロッパ方面)へのフライトの特徴です。
サマータイムの切り替え時期に渡航される場合、スマートフォンの時計は自動で現地時間に調整されますが、アナログの腕時計などは手動での変更が必要です。到着後はそのままホテルで一晩しっかり休むことで、時差ボケの軽減にもつながるでしょう。
また、「【朗読】ポータルクロニクル公式」のエンディング画像を変えてみました。Season 3は世界フィールドワークの章ですので、セシリアに世界の色々な衣装を着させてみようと試みました。お楽しみいただけたら幸いです。

