ポータルクロニクル Season 2 第3話「日本へ」

G教授は低い声で告げた。
「セシリア、お前は正規の手続きで日本へ入国しろ。そうでないと不法入国になるからな」

そして、ふと目を細める。
「イリスたちとも会ってみたい」

セシリアは頷き、心の中で決意を固めた。
「わかったわ、イリスに連絡してみる」

その夜、セシリアはテレパシーでイリスに呼びかけた。
「教授に……あなたのことを知られました。あなたに会ってみたいと」

「そう。いずれバレると思っていたわ。私もG教授のことは調べてある。ただの偏屈教授ではなく、2009年に閉鎖されたイギリス国防省内の「UFO desk」出身のようね。まぁいいわ。G教授、そしてお父さんにも森まで来るように伝えて」

夜空が光に包まれた。雲間から荘厳で神秘的な母船が姿を現した。巨大な船体は星々の光を受けて輝き、まるで天空の神殿のように威容を放ちながら森に静かに着陸する。

G教授もアーサーも、その光景に興奮を隠せないでいた。

G教授は、イリス、ロナ、デシュと初めて顔を合わせた。初めは互いに警戒したが、やがて短い言葉を交わすうちに打ち解けていく。

そしてイリスたちを見据え、静かに言った。
「セシリアは年齢的にもまだ危うい。お前たちで守ってやってくれ」
「君たちは母船で日本へ向かえ。セシリアは不法入国にならないように飛行機で行かせる」

「わかったわ」

「着陸場所は青木ヶ原樹海がベストだ。あそこは鬱蒼とした森で、外部からの視界が遮られやすい。『磁場が狂う』『方位磁石が効かない』『異界とつながる』などの噂も絶えない土地だ。航空機や衛星からも詳細を確認しにくい。日時を決めてセシリアと合流しろ」

「日本に私の信頼できる協力者がいる。名前はカミーユ。日仏ハーフで、かつて傭兵としてヨーロッパ戦線を渡り歩いた女だ。彼女を紹介してやろう。
 樹海を抜けてほど近い場所に『FREEDEN Ⅲ』という工房がある。そこでカミーユと合流しろ。工房には新型カスタムカーの製作を依頼してある。名は“デスサイズヘルカスタム”。“死神”の名を冠した守護者だ。彼女に運転してもらうといい」

セシリアは胸の奥で小さく息を整えた。期待と緊張が入り混じる中で、仲間と共に歩む未来を思い描く。

「じゃあ、また後日ね」

母船は夜の闇に溶けるように浮上し、仲間たちを静かに運んでいった。

『ポータルクロニクル』
©2025 高橋剛(未来叙事創作者)/AI支援

登場キャラクター紹介

セシリア・フェアチャイルド
物語の軸を担う存在。G教授の推薦で、日本へフィールドワークに向かう。
名前の由来は「機動戦士ガンダム」でギレン・ザビの第1秘書を務める才色兼備の美女セシリアと、「ガンダムF91」のセシリー・フェアチャイルドから。

イリス
太古に地球を離れた人類の末裔で科学者。G教授に正体を知られるも、敵意を示すことなく、セシリアの父とG教授の眼前に母船の威容を現す。チームセシリアを率いて日本へ向かう。
名前の由来はピエール=ナルシス・ゲラン作『モルフェウスとイーリス』から。

G教授
考古学者で、セシリアの担当教授。異説・奇説を追い求める、考古学界きっての異端児。2009年に閉鎖されたイギリス国防省「UFO desk」出身の過去を持ち、広い情報網からセシリアの特異な交友関係を知る。セシリアを後継者に指名し、日本行きを後押しする。
名前の由来は「ガンダムW」に登場するプロフェッサーG。


【朗読】ポータルクロニクル公式

使用音声ソフト
VOICEVOX:小夜/SAYO(朗読)
VOICEVOX:もち子(cv 明日葉よもぎ)(セシリア)
VOICEVOX:東北きりたん(イリス)
VOICEVOX:青山龍星(G教授)

エンディングテーマ
切なく儚いサイバー12/魔王魂


Chronicle FM

こちらはChronicle FM、Season 2 第3話編集後記をお届けします

G教授の経歴は、2009年まで実在したイギリス国防省「UFO desk」の出身という設定にしました。この背景は、教授が異説や奇説を追い求めるという特異な研究姿勢に、確かな整合性を持たせると考えました。

また、セシリアは、大学及び国の推薦によるフィールドワークで来日するという設定なので、リアリティを重視し、正規ルートでの日本入国としました。
UFO母船による全員の即時来日といった小説特有の荒業を駆使することも可能ですが、今回は意図的にこれを避けました。