ポータルクロニクル Season 2 第2話「死神と呼ばれるG教授・後編」

重苦しい沈黙の中、G教授は教壇に立った。チョークを叩きつけるように黒板に大書する。

「PORTAL」

その一文字が刻まれた瞬間、教室の空気は張り詰め、学生たちは思わず息を呑んだ。

「諸君!古代文明は“偶然”に生まれたと思っているのか?笑止千万!」
教授の声は怒号に近く、チョークが折れる音が鋭く響く。
「ピラミッドもスフィンクスもストーンヘンジも――すべては宇宙存在によって“意図的に造られた”のだ!」

スライドには次々と遺跡や図形が投影され、教授は黒板に乱雑に線や記号を書き殴っていく。目は異様な光を放ち、学生たちは笑うこともできず、ただ圧倒されていた。

「日本も例外ではない!
 いや、むしろ最も興味深い国だ!
 君たちも知っているだろう、富士山!幻の“富士王朝”が眠る山だ!
 出雲――あの社は月の裏側とポータルでつながっていると伝えられる!
 東北には“座敷わらし”と呼ばれる霊的存在が棲む!
 そして、未確認飛行物体と言わざるを得ない虚ろ舟!
 虚ろ舟のみならず、日本ではUFO目撃体験が報告され、その記録は少なくとも数百件に及ぶ!
 諸君、これらは単なる伝説ではない、人類史の深層に刻まれた“記憶”なのだ!」

学生たちは顔を見合わせ、半信半疑の笑みを浮かべる者もいたが、誰も声を上げられない。そんな中、セシリアだけが目を輝かせ、前のめりになって教授の言葉を追っていた。

講義が終わり、学生たちがざわめきながら退出していく。セシリアはまだ席に残り、胸の高鳴りを抑えられずにいた。教授が近づき、低い声で囁く。

「セシリア……君のことは調べてある。君が得体のしれない異界の存在と友人であることもな。だからこそ、私は君に白羽の矢を立てた」

「私は長く研究を続けてきたが、立場ゆえに自由に動くことはできない。年齢的なものもある。私の代わりに未知の領域を歩む者が必要なのだ」

「若い頃の私は、ただ誰よりも先を行くことしか考えていなかった。だが今は違う。知識も経験も、次の世代に受け継がれてこそ意味を持つと気づいた」

「セシリア……君には、かつての私にはなかったものがある。仲間を思う心、他者の痛みに寄り添う感受性、分かち合おうとする姿勢。……それこそが、私が後継者として君を選んだ決め手だ」

セシリアは驚きに目を見開き、やがて静かにうなずいた。胸の奥で熱いものが込み上げ、全身が震えるのを感じた。教授の狂気の裏に潜む優しさと使命感を、初めて真正面から感じ取った瞬間だった。

「セシリア、今日の講義で、君は確信したはずだろう?大学側と日本への手続きは私が手配する。――日本に飛べ!」

『ポータルクロニクル』
©2025 高橋剛(未来叙事創作者)/AI支援

登場キャラクター紹介

セシリア・フェアチャイルド
物語の軸を担う存在。G教授に特異な交流関係を見抜かれ、後継者として指名される。念願の日本行きが現実となり、新たな冒険が始まろうとしている。
名前の由来は「機動戦士ガンダム」でギレン・ザビの第1秘書を務める才色兼備の美女セシリアと、「ガンダムF91」のセシリー・フェアチャイルドから。

G教授
考古学者で、セシリアの担当教授。異説・奇説を追い求める、考古学界きっての異端児。セシリアの特異な交流関係を見抜き、後継者に指名。彼女を日本へ送り出すことで、自らの探究を次代へと託した。
名前の由来は「ガンダムW」に登場するプロフェッサーG。


【朗読】ポータルクロニクル公式

使用音声ソフト
VOICEVOX:小夜/SAYO(朗読)
VOICEVOX:もち子(cv 明日葉よもぎ)(セシリア)
VOICEVOX:青山龍星(G教授)

エンディングテーマ
切なく儚いサイバー12/魔王魂


Chronicle FM

こちらはChronicle FM、Season 2 第2話編集後記をお届けします

UMA(未確認動物)の正体として、「古生代の生物が時空の裂け目から現れた」とする説が存在します。この説は、時空を主題とする『ポータルクロニクル』における主要なテーマの一つでもあります。しかしながら、セシリアはオカルト学も範疇として扱いますが、UMAまでをも網羅的に取り上げ始めると際限がなくなるため、対象外としました。