「ロナ、交替よ。寝ている間にセシリアからテレパシーが来たわ。教授が退官して名誉教授になって、個人事務所を立ち上げたんですって。私たちが堂々とフィールドワークに行けるように、全員を研究員として登録してくれるそうよ。名刺ももう作ってくれたみたい。合流した時に渡すって」
ロナとかぐやが同時に声を上げる。
「本当に!?」
デシュも続く。
「私もか?」
「そうよ。しかも事務所のアイコンは、あなたをモチーフにしたデザインなんですって」
「今の私は、自らを器と規定している。宇宙に捨てられた者たちの思い、ジオンの理想を継ぐ者たちの宿願を受け止める器だ。彼らがそう望むなら、私はアイコンにだってなる」
再びセシリアからのテレパシーが届いた。
「セシリアたちは空港に迎えの車が来るから、それで向かうそうよ。私たちはスフィンクスの近くに着陸して、そこから歩いて行きましょう。……それにしても、まさに用意周到。さすがはG教授ね。セシリアたちが到着するまで、まだ7時間以上かかるみたい。ロナはゆっくりメドベッドで休むといいわ」
「そうさせてもらうわ」
ロナはメドベッドへ向かい、静かに眠りについた。
かぐやが母船の窓から外を見つめながら言う。
「真夜中のスフィンクス……神秘的ですね。次はどんな方と出会うのでしょう。エジプトの遺跡群は知識としては知ってますけど、実際に見るのは初めてなんです」
イリスが頷く。
「私もよ。教授が目をつけたということは、あそこにポータルがあるのでしょうね。あの一帯は宇宙との繋がりが強い場所だし」
「スフィンクスの件は私も初耳です。その分、楽しみです」
かぐやが微笑む。
「時間はまだたっぷりあるわ。私たちももう一眠りしましょう」
イリスの言葉に、かぐやも「はい」と答え、2人は部屋のベッドで眠りについた。
登場キャラクター紹介
イリス
太古に地球を離れた人類の末裔で科学者。G教授の個人事務所「Professor G Archaeological Institute」研究員。常にセシリアに寄り添う良き理解者。父親は母星の代表職である最高評議会議長。
名前の由来はピエール=ナルシス・ゲラン作『モルフェウスとイーリス』から。
ロナ
人間の食べ物を摂取し続けたため、人間に変化した元妖精。イリスの星に移住することとなったが、引き続き仲間と共に旅を続ける。ゆえに彼女もG教授の個人事務所「Professor G Archaeological Institute」研究員として加わることとなった。
名前の由来は「ガンダムF91」に登場したセシリー・フェアチャイルドの本名であるベラ・ロナから。嫌いなものはアニメ同様、ラフレシア。
デシュ
イリスがいる世界の保護猫♀で、セシリアの高校進学祝いに贈られる。イリスと同じ高性能マイクロチップがインプラントされており、地球人を始め、異界の者との意思疎通が可能。ネオ・ジオン大佐で、「赤い彗星の再来」と呼ばれている。G教授の個人事務所「Professor G Archaeological Institute」のアイコン研究員となる。
名前は読者さん命名。由来はフランス語で「堕天使」を意味するアンジュ・デシュ(Ange déchu)から。
かぐや
日本人と地球外知的生命体とのハイブリッドの末裔。前・月の代表で、G教授の個人事務所「Professor G Archaeological Institute」研究員。地球のオープンコンタクトの“先鋒”という、新たな任務の元、セシリアらと共に旅を続ける。
編集後記
今回の第2話は、宇宙組の移動を中心に描いた回であり、珍しく主人公セシリアが不在となりました。そして、大学職員時代はしがらみの中でどこか窮屈だったG教授が、個人事務所を立ち上げたことで一気に動き出しました。年齢を感じさせないそのダイナミックさは、物語の推進力そのものです。
美輪明宏さんいわく、“年齢なんてただの記号”です。
読者の皆さまも、G教授に負けず、年齢など気にせず、縦横無尽にご活躍いただければと思います。
真夜中のスフィンクスは、“夜明け前の静謐さ”と“ポータルの予兆”を象徴する存在として描きました。Season 4はここからさらに深まっていきます。どうぞご期待ください。

