ポータルクロニクル Season 4 第1話「再始動する者たち」

「セシリア、戸締り頼むぞ。今日から軍に復帰だ。行ってくる。ドクターヘンリーによろしく伝えておいてくれ。特に異常なしだ。これで心置きなく訓練に打ち込める。イリス、改めて礼を言う」

イリスはウインクしながら軽く会釈し、ロナとかぐやは手を振った。

「わかったわ、パパ。気をつけて。私たちもそろそろ出発するわ。教授も引き継ぎが終わったら空港に直接来るって」

「そうか。君たちも気をつけてな」

そう言い残し、アーサーは軍の基地へと向かっていった。

「私たちは一足先に現地入りして待機しているわね。上空からモニターして、ちょうどいい頃合いで降りるわ」

イリスはそう告げると、ロナ、デシュ、かぐやと共に母船へ乗り込み、静かに飛び立った。

そしてイリスとロナはヘンリーの診察室を訪れた。

「ヘンリー先生、大佐が言うには特に異常なしとのことよ。見た感じも、すこぶる調子が良さそうだったわ」

「そうか、それは良かった。イリスもロナもご苦労じゃったな。大佐の様子見で、あまり眠れていないじゃろう?交替でメドベッドに入って休むといい」

「そうさせてもらうわ。イリスが先でいいわよ。私はかぐやとデシュと部屋でゆっくりしてる」

「じゃあ、先に休ませてもらうわ」

イリスはメドベッドに入り、眠りについた。

「カミーユ、私たちも出ましょう。教授にメールしておくわね」

ほどなくして返信があり、カイロ国際空港への直行便があるロンドン・ヒースロー空港で合流することになった。

「すまんすまん、引き継ぎが長引いてしまってな。搭乗時間にはまだ間に合うだろ?」

「ええ。これ以上ゆっくりはできなさそうだけど……私たちは先にロビーで休めたから大丈夫よ」

「じゃあ行こうか」

セシリアらは足早に、慌ただしくブリティッシュ・エアウェイズの搭乗ゲートへと向かった。

席に座り、セシリアが尋ねる。

「教授、引き継ぎとおっしゃいましたけど、講義を他の教授にお願いしたんですか?」

「それもあるが、大学が功績を認めてくれてな。名誉教授になったのだ。つまりは現役ではなくなったので、後輩に引き継いでもらったというわけだ」

「そうだったんですね!」

「セシリア、ある意味、君のおかげだ。君を育て上げたことを評価してもらえたようなものだからな」

「いえいえ、私はいつも教わるばかりで……」

「今回はエジプト政府が絡む案件ゆえ、窓口を作ろうと思ってな。早急に個人事務所を立ち上げ、名刺も作ったのだよ」

セシリアが尋ねる。
「助手として入れてもらおうかしら?」

カミーユも便乗して言う。
「警護役として私も必要でしょ?私も入れてもらうわ」

「そう言うかと思って、既に全員分の名刺を作っておいた。全員、“研究員”という肩書きでいいだろ?そうすればイリスたちも怪しまれないで堂々とフィールドワークに行けるというものだ。そしてエジプトでは黒猫といえばバステト女神だ。事務所のアイコンはデシュをモチーフにしたバステト女神にした。先にお前たちの分を渡しておく。1人50枚ずつだ。イリスにもテレパシーで伝えてやれ」

そう言うと、G教授はセシリアとカミーユに名刺の入ったケースを手渡した。

「“Professor G Archaeological Institute”……イイじゃないですか!」
セシリアの顔がパッと輝く。

「だろ?」

「かっこいいじゃない」
カミーユは嬉しそうに名刺を上に掲げつつ、悪戯っぽく微笑んだ。

「……ということは、つまり、警護対象がセシリアと教授の2人に増えたってことね。スイーツの量を2倍にしてもらうわ。もちろん教授のおごりでね」

「カミーユ、君はスイーツ目当てなのか?」

「当然でしょ」

3人は笑いに包まれ、一路、カイロ国際空港へ向かって飛び立っていった。

登場キャラクター紹介

セシリア・フェアチャイルド
物語の軸を担う存在。G教授の個人事務所「Professor G Archaeological Institute」研究員。G教授や仲間と共に、エジプトフィールドワークに向かう。
名前の由来は「機動戦士ガンダム」でギレン・ザビの第1秘書を務める才色兼備の美女セシリアと、「ガンダムF91」のセシリー・フェアチャイルドから。

イリス
太古に地球を離れた人類の末裔で科学者。G教授の個人事務所「Professor G Archaeological Institute」研究員。常にセシリアに寄り添う良き理解者。父親は母星の代表職である最高評議会議長。
名前の由来はピエール=ナルシス・ゲラン作『モルフェウスとイーリス』から。

ロナ
人間の食べ物を摂取し続けたため、人間に変化した元妖精。イリスの星に移住することとなったが、引き続き仲間と共に旅を続ける。ゆえに彼女もG教授の個人事務所「Professor G Archaeological Institute」研究員として加わることとなった。
名前の由来は「ガンダムF91」に登場したセシリー・フェアチャイルドの本名であるベラ・ロナから。嫌いなものはアニメ同様、ラフレシア。

カミーユ
フランスと日本のハーフ女性。元傭兵で、その類稀なる戦闘能力から「最高のニュータイプ」と呼ばれている。若干強引ではあるが、G教授の個人事務所「Professor G Archaeological Institute」研究員となる。
名前の由来は「Zガンダム」の主人公カミーユ・ビダンから。

G教授
イギリス国防省「UFO desk」元職員にして、政府のオープンコンタクト推進派メンバーでもある考古学者。セシリアの公私にわたる恩師であり、教授職を退官し、名誉教授となった。個人事務所「Professor G Archaeological Institute」を開設。
名前の由来は「ガンダムW」に登場するプロフェッサーG。

アーサー・フェアチャイルド
セシリアの父親で父子家庭。イギリス海兵隊大佐。休暇中にヘンリーから左肩に残った弾丸の破片の摘出手術を受け、軍に復帰した。
名前の由来は「ガンダムSEED FREEDOM」でミレニアムの副長を務めたアーサー・トラインから。

ヘンリー・フィーア
イリス一族の専属ドクター。専門は産婦人科。人呼んで「スーパードクターH」。アーサーの弾丸摘出手術を行う。イリス、ロナ、かぐやから“変なおじさん”認定をされている。
名前の由来は小説『新機動戦記ガンダムW Frozen Teardrop』から。

編集後記

今回の第1話は、G教授にとっての大きな転機であり、同時にメンバー全員の再始動につながる回となりました。

G教授は大学を退官し、厳格な審査を経て名誉教授の称号を授与されました。イギリスにおけるProfessor Emeritusは、日本の慣習とは異なり、大学が功績を正式に認めた者にのみ与えられる名誉職です。これにより、退職後も公式に“Professor”の称号を保持することができます。

大学から給与が支給されるわけではないため、個人事務所を設立して活動することも問題ありません。これまでG教授は大学職員という立場上、セシリアたちのフィールドワークに関しても、調査費の確保以上のことは難しく、表立って動くことができませんでした。しかし、名誉教授となった今は、イリスたちにも研究員という肩書きを与え、堂々とチームの一員として活動させることができます。黒猫のデシュまで研究所に迎え入れるあたり、彼の一癖ある経歴とは裏腹に、根の優しさがよく表れています。

元ネタである『ガンダムW』のプロフェッサーGも、マッドサイエンティスト的な側面を持ちながら、人間性と良心は極めて健全な人物でした。その気質が本作にも受け継がれています。

今回登場したG教授の事務所名「Professor G Archaeological Institute」の誕生に、私自身も強く触発され、このたび、従来の日本語表記からアルファベット表記の “Office of Goh Takahashi” へと刷新し、グローバル化に対応する形で運用を整えました。

この新体制への移行を記念して──劇中でG教授がメンバーに手渡した、「バステト神デザインの名刺」を壁紙としてファンの皆様へプレゼントいたします。

私のホームページのニュースレターにご登録いただいた方には、「PC用横長画像」「スマホ用縦長画像」の2種類の限定壁紙を、メールに添付して各話ごとに随時お届けいたします。もちろん、登録も解除もいつでも自由に行っていただけます。

たとえば今回でしたら、ブリティッシュ・エアウェイズの横長・縦長画像と、名刺デザインの横長・縦長画像の計4枚をプレゼントいたします。

物語の再始動とともに、新しくなった “Office of Goh Takahashi” のポータル(扉)を、ぜひお気軽に叩いてみてください。

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