ポータルクロニクル Season 3 第3話「旅立ち前に」

「違う星でこんなエキサイティングな体験ができるとは思わなかったわ! 妖精も軍人もやめて、地球に帰化しようかしら。あの教授にお願いすれば身分証なんかいくらでも作ってくれそうだし。国籍はどこにしようかしら?」
ロナの本気とも冗談ともつかない一言に、皆の表情がふっと緩んだ。

「カミーユ、ちょっと2、3分待ってくれないかしら? えりさんとあおいさんに、お別れのメールを送っておくわ」
「まだチェックアウトまで時間があるから、ゆっくりでいいわよ」

セシリアは「百鬼夜行の館」のえりとあおいに、帰国する旨をメールした。
マイクロチップの効果もあり、この頃のセシリアは日本人大学院生と遜色ないほど自然に日本語を読み書きできるようになっていた。

数分後、えりから電話がかかってきた。

「セシリアさん、大学院修了ですって!? おめでとうございます! 今度から“セシリア先生”と呼ばなくてはなりませんね」
「いやいや、まだそんな立派なものじゃないわ」

「ところで、まだ皆さん水戸にいるの?」
「ええ。これから帰国するところよ。カミーユの話だと、車は知り合いの静岡の工房から借りたものだから返しに行って……そこから皆でイングランドへ向かうわ」

「そしたら、水戸インターチェンジってわかるかな? すぐ近くに、私たちの仲間がやっている喫茶店があるの。お昼ご飯がてら寄ってみたらどうかしら? 行くなら、私から電話しておくわ。店名と住所と電話番号を、このあとメールするわね」
「お二人の知り合いなら、ぜひ行ってみたいわ!よろしく」
「ただ、私たちよりキャラが強烈かもね」

続いて、あおいが電話越しに声をかける。
「皆さん、いつかまた日本へ!」
「絶対帰ってくるわ。落ち着いたらまたメールするわね」

電話を切ると、すぐにえりからメールが届いた。

「カミーユ、見て」
「まあまあすぐ近くじゃない。みんな、行ってみる?」

一同、帰り支度をしながら頷いた。

「Cate M.A.F.Tea(マフティー)」……って、なにこれ?エゥーゴみたいなもの?」

『ポータルクロニクル』
©2026 高橋剛(未来叙事創作者)/AI支援

登場キャラクター紹介

セシリア・フェアチャイルド
物語の軸を担う存在。大学院の卒業式のため、日本フィールドワークを終え、母国イングランドに帰郷することとなった。
名前の由来は「機動戦士ガンダム」でギレン・ザビの第1秘書を務める才色兼備の美女セシリアと、「ガンダムF91」のセシリー・フェアチャイルドから。

ロナ
父親との確執から家出していたところ、イリスによって呼び寄せられたニュータイプ妖精。身分は宇宙海賊マザー・バンガード元艦長という軍人。人間への帰化願望を口にする。
名前の由来は「ガンダムF91」に登場したセシリー・フェアチャイルドの本名であるベラ・ロナから。嫌いなものはアニメ同様、ラフレシア。

カミーユ
フランスと日本のハーフ女性。G教授の依頼で、引き続きセシリアの護衛と、旅を支える運転手を担うこととなった。元傭兵で、その類稀なる戦闘能力から「最高のニュータイプ」と呼ばれている。
名前の由来は「Zガンダム」の主人公カミーユ・ビダンから。

えり
妖怪を愛する語り部ユニット「百鬼夜行の館」主宰。座敷わらしのコスプレで、旅館で接客を担当している。あおいとは同級生でプリキュアのような仲良しコンビ。生粋のアニメオタクで、セシリアの日本アニメの知識はえりのブログから得ていた。俳優・原田龍二氏の大ファン。好きなTV番組は「世界の何だコレ!?ミステリー」。
名前の由来は「ラブライブ!」に登場した絢瀬絵里から。

あおい
妖怪を愛する語り部ユニット「百鬼夜行の館」メンバー。雪女のコスプレで、旅館で接客を担当している。えりとは同級生でプリキュアのような仲良しコンビ。プロポーションには絶対の自信があり、ラクス・クラインをライバル視している。
名前の由来は「ゆるキャン△」に登場した犬山あおいから。

【朗読】ポータルクロニクル公式

使用音声ソフト
VOICEVOX:小夜/SAYO(朗読)
VOICEVOX:もち子(cv 明日葉よもぎ)(セシリア)
VOICEVOX:後鬼(カミーユ)
VOICEVOX:四国めたん(えり)
VOICEVOX:春日部つむぎ(あおい)

エンディングテーマ
Burning Heart/魔王魂

編集後記

本気とも冗談ともつかないロナの「妖精から人間への帰化願望」ですが、神話や民話の中では、妖精が直接人間へと変身する例は稀です。ただし、「妖精と人間はもともと同じ種族から分かれた存在である」「人間の食べ物を口にしたことで変化が生じた」といった起源譚は各地に見られます。

たとえば、アイスランドの民話では、妖精と人間はかつて兄弟のような種族であり、生物学的にもほとんど違いがなかったと語られています。ゆえに、ロナのように異星からやってきた存在であっても、地球の大気に適応できたというわけです。

また、ヨーロッパのフォークロアには、ある妖精が人間界で長年暮らし、人間の食べ物を摂取し続けた結果、次第に人間へと変化していったという逸話も残されています。

さらに、ケルト神話では、ダーナ神族が人間に敗れたのち、地下の妖精国へと姿を消し、人間に似た姿を保ちながらも別の存在として分かたれたという伝承が語り継がれています。